先日、スポーツターフ・ワークショップ2017を開催しました。
アメリカからジェラッド・ミニック氏を招いて、効率良く強靭な芝を作る管理方法を学びました。
<不可能を可能にするために・・・細かなデータを基にした管理5つの視点>
ミニック氏が手掛けたグラウンドでは、プロアメリカンフットボールの試合の3日後にプロサッカーの競技を開催。これは、これまでの管理方法では不可能だと考えられてきた。
不可能を可能にするには、データ分析が必須であるとミニック氏は語る。ピッチ表面を様々な点でテストし、マッピングによるグランドの芝活性を調査。データを基にした肥培管理方法、即ち水分管理、更新作業、コンパクション管、理適切な芝種の選択等を確実に実施することで、問題箇所を改善し、強靭なターフを作りだす。
<栄養管理によるトランジッションの成果>
トランジッションの成功には、①日照、②コンパクション、③土壌温度の中で、ミニック氏は特に①の日照が重要な要件であることを実験で証明した。加えて決め手となるのが、窒素を控えた栄養管理。すなわち窒素過剰の施肥は、葉身部の過度な生長をあおり、逆に芝の耐久性を弱めると説明した。栄養素のバランスを整え、各々の環境にあった無駄のない施肥で、生長を促進させることが望ましい。芝密度が確立してきた時点で、直ちに耐久性に焦点を当てる施肥に変えるべきと語る。ミニック氏は、この管理方法により過去5年で7回のソッド張替えを余儀なくされていたスタジアムにおいて、張替えの必要のない力強いターフへと生まれ変わらせた。
<土壌だけでなく葉面からの施肥でストレス耐性の強い芝草へ>
アナリンク土壌分析を通して、土壌環境の改善で微生物活性に力を注いできたミニック氏。各項目から焦点を当てるべきポイントを見つけ出し、問題に的確に対応する極少水量葉面散布手法を紹介。フロラティン資材特有のキレート技術やカリウム合成物質を応用したライダー技術、植物活性が高いフミン酸を使った転流促進効果や擦り切れ耐性に効果のあるケイ酸を葉面吸収資材で施用することで大きな成果があることも言及した。
このワークショップを通して、ミニック氏の考える基本的な方針、判断基準を知ることができ、これまでの管理方法に緻密なデータを加えることで限られた環境の中でも多くのストレスに耐え抜くことのできるグランド作りを学ぶ貴重な機会となりました。